総予測2024#10Photo:picture alliance/gettyimages

高騰する金と原油価格は、2024年どうなるのか?それを読み解くカギは、米国の金融政策と地政学リスクだ。特集『総予測2024』の本稿では、24年の原油と金の価格を予想する。(マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表 新村直弘)

主要国中銀の金融引き締めで
2024年にかけて景気減速へ

新村直弘にいむら・なおひろ/マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表 1994年東京大学工学部卒業。日本興業銀行などを経て、2010年にマーケット・リスク・アドバイザリーを設立、共同代表に就任。

 2023年の世界景気は製造業が底入れ、サービス業が減速の状態を継続しており、想定通り24年にかけて景気が減速する可能性が高まっている。これはこれまでの各国中央銀行の金融引き締めの影響がようやく顕在化したためだ。

 過去、利上げによって長短金利が逆転した場合、ほとんどのケースで景気後退局面が訪れている。24年1~3月ごろから景気が緩やかな後退局面入りし、早ければ7~9月ごろを底に回復基調に転じるとみる。

 なお、インフレ目標達成のための高金利政策継続で、景気回復のペースはこれまでの回復局面に見られたような力強い回復にはならないと予想される。

 こうした経済前提を基に、次ページ以降、原油価格、金価格の24年の動向を分析する。