「日本では、ホルモンを補充するという考えがまだ一般的になっていないんです。不安を感じたり、危険意識を持ったりする方も少なくありません。ですが、少子化や高齢化社会の状況を鑑みると、このままで良いわけはありません。ストレスによって早期にLOH症候群になることを防ぎ、健康寿命を延ばすためにも、治療に使える新しいテストステロンゲルを開発しました。ゲルのタイプで経皮吸収されやすく、副作用が少ないのが特徴です」(堀江教授)

 テストステロン補充療法の効果は、筋肉が増える、脂肪が減る、男性機能の回復、糖尿病リスクの低減、脂質異常症の改善などがあり、臨床テストでの主観的な効果としては、睡眠が深くなった、他者に左右されなくなった、不安感が減ったなどがあるそうだ。もちろん個人差はあるが、少量でも効果が現れるのも特徴だという。

ゲルを体に塗るだけ
リスクもほとんどなし

 LOH症候群かどうかの診断はもちろん、テストステロンの数値を知りたい場合は血液検査で測定する。そのほか、簡易的な方法として、唾液で測定する方法もある。

「テストステロンの数値は環境や感情によっても変わるので、日によってかなり数値が変化することがわかっています。この検査が一般的に広まれば採血よりも気軽に、測定する場所も医療機関に限らず、スポーツジムなどでも可能になるでしょう」(堀江教授)

 ビジネスにおいても使えそうなデータが出ている。

「研究によって、一番数値が低くなる時間帯が15時ごろだとわかりました。テストステロンは決断にも関わるホルモンなので、15時ごろは重要な意思決定は難しいかもしれません。スケジュールを組む際にも数値が参考になるでしょう」(堀江教授)

 テストステロン療法について堀江教授から得る情報を聞くに、やる方が良いことばかり。しかし医療には必ずリスクがある。特に自費治療の場合はやれることの幅がかなり広くなるが、リスクの確認は必ずする。僕は、できうる限りのすべてを知った上でメリットとリスクを天秤(てんびん)にかけ、やるかどうかを決めている。

「テストステロン補充のリスクは非常に少ないです。ボディビルダーのように、一時的に大量投与する場合は注意しなくてはいけませんが、そうでない限りほとんどリスクはありません」と聞き、まずはテストステロン値を測ってみることにした。