最初の配属先が希望と異なった場合、「すぐに辞めてしまうのではないか」と懸念する企業は少なくありません。昨今はメディアでも「配属ガチャに外れて、入社後数週間で退職した」といったエピソードが紹介されることも増えており、その影響もあるのかもしれません。

 本調査では、「もし最初の配属先が希望と異なる場合、希望の仕事に就くまで転職せずに働き続けられる期間」を聞いています。その結果、「1年以内」が4.8%、「3年以内」が30.8%、「5年以内」が16.4%となり、5年以内の合計は52%と半数を超えています。

 ただ、「希望の仕事ができるまで就職確定先で勤務し続ける」と回答した割合は約4割(39.4%)にのぼっており、価値観が多様化していることが読み取れます。つまり、「最近の若手社員はすぐ辞める」といった言説がそのまま当てはまるとは言えない、と考えられるでしょう。

求められるのは
本人の志向に応じて選べる採用の在り方

 24年卒の大学生・大学院生に「働きたい組織の特徴」を聞いた調査では、「経営スタイル」「貢献と報酬の関係」「成長スタイル」「ワークスタイル」「コミュニケーションスタイル」の5つの観点で、さまざまな対立意見について、どちらに当てはまるかを聞いています。その中で、「様々な仕事を、短期間で次々に経験する」働き方か、「特定領域の仕事を長期間、継続的に担当する」働き方か、どちらがより当てはまるかを大学生に聞いた項目では、前者は41.3%、後者は58.7%という結果になりました。特定の仕事を継続したいという意向が約6割と高いものの、ジョブローテーション型の働き方を望む意見も約4割あることがわかります。

 その両方の声に応えようと、採用時に複数のコースを設ける「コース別採用」、仕事内容に応じて細かく分ける「職種別採用」を取り入れる企業は増えています。では、そうした取り組みについて学生はどのような考えや感想を持っているのでしょう。冒頭の調査の中で大学生から寄せられたフリーコメントでは、肯定的なものから否定的なものまでさまざまな意見が寄せられています。