「あっさり裏切られる人」と「ずっと裏切られない人」のシンプルだけど決定的な違いPhoto:JIJI

大谷翔平選手の活躍を手放しで喜べなくなって随分と時間がたった。大谷選手の銀行口座から元通訳の水原一平氏が24億円もの不正送金をした水原事件の余波が広がっている。なぜ、身近な人間にあっさり裏切られてしまったのか。セキュリティ・コンサルタントの松丸俊彦氏は「大谷選手の緩さ」を指摘する。信頼する人から「あっさり裏切られる人」が知らない「人間関係の基本ルール」とは? さらに、事後的に「身近な人間に起こった変化を見逃さない方法」についても解説してくれた。(取材・構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)

大谷翔平は事件を防ぐことができた

 大谷翔平選手のように若くして成功したアスリートは、社会経験が乏しいまま大金を手にすることになります。いろいろな誘惑や詐欺に対する免疫がない状態で年収が約100億円……格好の餌食です。

 報道によると、水原氏がギャンブルにのめり込んだのは、大谷選手の通訳を務めるようになった後で(4月13日 東京新聞)、賭博の胴元が”大谷の財布を狙って”水原氏に近づいたと言われています(4月16日 NHK「クローズアップ現代」)。このように、大金を手にした人物の元には、邪な考えを持った人間を吸い寄せてしまいます。

 したがって、大谷選手は「信頼している人から裏切られない方法」を事前に身につけておく必要がありました。事件を未然に防ぐためにできることがあったのです。

 さらに、水原氏が2021年から継続的に賭博を続けていたことを考えると、裏切られたことにすぐに気がつくことができれば、被害を減らすこともできたはずです。事後的な対策として「身近な人間に起こった変化を見逃さない方法」に関する知識が役立てられたでしょう。

 今回はこれら2点について、大谷選手の一件を引き合いに、私生活におけるセキュリティー対策にもビジネスにおけるチームマネジメントにも役立つ知識をお伝えします。

信頼している人から裏切られない方法

 大谷選手のような人は、まず初めに「外部の相談できる人」を持つ必要があります。これは、家族や友人ではなく、「専門家」のことを指します。税金対策であれば税理士ですし、資産運用ならファイナンシャルプランナー、法律の話であれば弁護士です。

 よく家族や親しい友人に相談すると言う人がいますが、今回の大谷選手が被害にあった24億円もの不正送金は、最も信頼していたであろう身近な人が容疑者です。つまり、「外側の専門家」ではなく「内部の非専門家」。「仲が良いから頼る」という考えでは、水原氏のような人物にあっさりと裏切られてしまい、犯行を防ぐことはできないのです。