私の経験上、重要な指標となったのが店員さんに対する態度です。上司や同僚と違って、文脈や継続性がない関係ですから、悪態をついてもその場限りで終わり。内面の変化が露呈しやすいポイントだと考えています。

 ここまで述べたような兆候を友人や家族、上司や同僚にはなかなか見せようとしない人もいると思います。その場合、複数名の視点から変化を捉えることを検討してみてください。共通の友人や別の同僚にその人のことを聞いてみると、自分では気づけなかった変化や思わぬエピソードといった情報を得ることができるかもしれません。つまり、近所のパパ・ママ友や部署をまたいだ人間関係といった「つながり」こそがリスクマネジメントにおいて重要な要素となるのです。

 例えば、大谷選手であれば、チームメートなどに水原氏の様子について尋ねることで何かもっと早く気がつくことができたかもしれません。もちろん、そもそも水原氏が他のチームメートとどのくらい親密だったかによって成否が分かれる手法ではあります。しかし、人間が常に変化する以上、家族や同僚の変化に気がつくためには、一点に張って様子を見るのではなく、自分以外の人も巻き込んだネットワークを常に張り巡らせて気にかけることが肝心となります。

 こうなってしまった以上、水原さんがタレントの通訳として生きていくことは難しいでしょう。大きなお金が動くところは、再発の可能性を高めるからです。ギャンブル依存症は深刻な病です。信頼を寄せていた大谷選手や奥様も簡単に裏切られてしまうほど恐ろしいものです。まずは、治療に専念して何とか再起してほしいと願ってやみません。