売り上げ拡大よりもまずは評価と共感を得て
ファンになってもらうことが大切

「自社の商品・サービスを『安くして』と言われず、売りたい価格で自由に売りたい」と、どの経営者も思うが、その実行は簡単ではない。ワークスマイルラボが現石井社長になって顧客に高く評価される職場環境を整えることができた大きな要因に「顧客を選ぶ・絞り込む」ことを勇気をもって実行したことがある。

 商品を高く買ってもらうには、自社を高く評価してくれる顧客に販売しなければならないため、自社の評価が低い取引先とは、無理には付き合わない。売り上げよりもまず評価を勝ち取るために何ができるかを考える。

 ワークスマイルラボも、かつては多くの取引先に「安くしますから」という販売をしていたため、最後は価格で判断されたり、「そこまで言うなら買ってやる」と上からの態度を取られたりした。業績も不安定で給与水準もそれほど高くなかった。

 経営危機や社員の退職をきっかけに自社の事業価値を再定義したことで、会社が大きく変わった。自社の強み、自社を評価してくれる顧客と付き合っていくために、さまざまな取り組みを考え、実行することが大切だと理解でき、やり抜いた。とにかく自分たちが絞り込んだ顧客から深い共感を得る、ファンになってもらうことを優先して考える。

書影『このビジネスモデルがすごい!2』『このビジネスモデルがすごい!2』(あさ出版)
船井総合研究所 著

 地域で信頼を勝ち取り、ファンとなった取引先には、これからの働き方を実現するための付加価値の高いツールだけではなく、一般的などこにでもあるオフィス用事務機もワークスマイルラボが提示する価格で適正に販売できるようになった。

 そのような環境を確立できた最大要因は、自社が自信をもって提案をできていることだ。その思いは高まり、ワークスマイルラボは同業のオフィス用事務機業界にも、取引先の働き方改革支援の旗手になっていこうとメッセージを送っている。

 顧客に本当に役立つものを提供するために、顧客と同じ条件に自社を置き、オフィスも最先端の働き方改革のモデルケースとして改革し続ける。絞り込み、その対象が求めるものを高いレベルで提供する姿勢を崩さないことが同社の強みだ。