2022.2.1 日銀はFRBより早くバランスシート縮小へ、危うい日本株と物価の先行き 2021年12月の金融政策決定会合では、新型コロナ対応金融支援特別オペの大部分を占める民間債務担保分を2022年3月に終了させるとともに、社債の保有残高もコロナ前の水準に戻す方針が発表された。日銀のマネタリーベースは、2021年12月時点で670兆円…
2022.1.10 日本企業の内部留保は海外で大幅増、賃上げ実現の打開策は「レパトリ減税」 岸田首相は、賃上げを優先課題とするが、決め手に欠けるのも事実だ。日本企業での賃上げが進まない理由を国内外の利益成長の違いから指摘するとともに、海外でため込まれた内部留保を国内に還流させるための「レパトリ減税」の有効性を紹介する。
2021.11.17 岸田首相が強調する「賃上げ減税」、それでも賃金上昇が加速しない理由 岸田首相は、就任会見にて賃上げ減税の実施に前向きな姿勢を見せた。賃上げ減税の構造的な限界や、コロナ禍での日本の雇用調整プロセスを振り返り、導入機運が高まる賃上げ減税が現実の賃上げにつながらない理由を解き明かす。
2021.9.4 菅退陣で日本株は30年ぶり高値、次期首相選びが株高につながったワケ 菅首相は9月3日、自民党の総裁選に出馬せず、任期満了とともに首相を辞任する考えを示した。これにより、9月29日に実施される総裁選の勝者が、次期首相となる見込みだ。日本株市場は、菅首相の退陣報道を受けて上げ幅を広げ、東証株価指数(TOPIX)…
2020.12.3 コロナ再拡大で景気失速か?政府がなすべき「国民を絶望させない対策」 日本では新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、行動制限が徐々に強められている。こうした行動制限の再強化によって懸念されるのが景気の失速だ。「自粛ムード」による景気失速でダメージを受ける人々が生まれることを忘れてはならない。「自粛ム…
2020.11.6 バイデン勝利で警戒すべき、米国株市場を揺るがす「政権左傾化リスク」 米大統領選挙は、バイデン候補の優勢が伝えられている。郵便投票の開票が本格化すると、バイデン候補はそれまでトランプ大統領が大きくリードしていた諸州で急激に追い上げ、ついに逆転を果たした。共和党の過半数の可能性が濃厚と伝えられていた上…
2020.10.7 コロナで失業率5%なら自殺者は毎年1万人増加、今後求められる対策とは 日本では、新型コロナウイルス新規感染者数が7月以降に再度加速したが、死者の増加は他国に比べて緩やかだ。その一方で、経済の落ち込みは深刻だ。日本経済の回復ペースは7月以降も鈍い。今後懸念されるのは、経済を起因とした死亡者の増加だ。仮に…
2020.9.2 安倍首相の突然の辞任で闇に葬られた「アベノミクスの謎」とは アベノミクスは「大胆な金融政策」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」の3本の矢からなる経済政策だ。このうち、金融政策が最も効果を発揮した。しかし一方で、アベノミクスには企業利益の拡大が賃上げにつながらなかったという誤…
2020.6.15 グーグルとアップルの調査データから読み解く、日本経済「V字回復」シナリオ 新型コロナ禍による各国での行動制限の程度は、国・地域によって異なる。グーグルの「モビリティ指数」やアップルの「モビリティトレンド」などの公表データを基に各国を比べると、日本の自粛は独自の行動制限で経済の大きな落ち込みを防いでいるス…
2020.3.31 コロナで世界は戦後最悪のマイナス成長へ、日本に残された「対応余地」とは 新型肺炎は世界中で感染拡大に歯止めがかからない。各国で商業施設の営業停止や外出禁止令、渡航制限が発令され、新型コロナ感染の抑え込みと引き換えに経済活動を停止させている。日本、中国、ユーロ圏、米国は、いずれも今年1-3月期に大幅マイナ…
2020.2.24 日本経済に追い打ち、新型肺炎で中国は十数年ぶりのマイナス成長へ 中国で発生した新型肺炎は日々感染の広がりを見せており、経済活動に急ブレーキがかかっている。金融機関やシンクタンクの多くは、1-3月期の中国の成長率予想を前年比+6%程度から前年比+4%程度に下方修正しているが、コンセンサス予想を超える低…
2019.12.10 増税後の消費落ち込みが鮮明化、大型対策で日本景気は持ち直すか 政府は消費の大幅な落ち込みを防ぐため、軽減税率の導入、幼児教育の無償化などの景気対策を開始した。しかし消費増税後の消費関連指標は非常に弱く、消費税率引き上げ前の駆け込み需要がなかったにもかかわらず、反動減はしっかり出ている。今回も…
2019.8.13 今なお続く「ロスジェネ」の苦境、貧困連鎖と支援不足の実態 就職氷河期に社会に出たロスジェネは、非正規雇用・低賃金の待遇が現在も続いている。働き方改革や育児支援などの制度上の恩恵から取り残され、年功序列の変革も議論され始めた。ロスジェネの経済状況が是正されなければ、ロスジェネから生まれた子…
2019.8.3 欧州債務問題を収束させるヒント、イタリアの「ミニBOT構想」とは 欧州委員会は、過剰財政赤字を理由としたイタリアへの制裁を見送ったが、今夏から秋にかけて再燃のリスクは高い。欧州の債務問題が終わらないのは、単一経済圏における財政、金融、為替の調整が十分に機能しないのが大きな原因だ。財政共通化に向け…
2019.6.6 財政健全化を目指すなら、増税の前に年金「世代間格差」是正を 安倍首相は、財政健全化と全世代型社会保障の実現のため、消費税の税率を今年10月に引き上げる意向を表明している。しかし、日本の現役世代の負担は、徐々に限界に近づいている。増加する社会保障関係費の多くを占める年金給付費について、本質的な…
2019.5.2 なし崩し的な労働供給の拡大は賃上げ・物価上昇を阻害する 安倍首相は自身の経済政策の成果として、雇用の増加を繰り返し誇っている。しかし、今年の春闘でのベースアップは、政府からの再三の賃上げ要請にもかかわらず前年比+0.6%にとどまるなど、賃金の伸びは今もなお限定的だ。賃金の伸びを妨げるものと…
2019.4.9 「日本版MMT」の効果が疑わしい理由 昨今、経済論壇でMMTが話題を呼んでいる。MMTとは、自国通貨の発行権を持つ国では自国通貨建てで国家債務のデフォルトが起こらず、政府は無限に信用を供与できるという主張だ。実は、我々の足元でも「日本版MMT」と呼べる状況が起きている。
2019.3.15 日本経済は正念場、米FRB発「ハト派ドミノ」で深まる日銀の苦悩 各国中銀によるハト派ドミノの中では、緩和余地の少ない日本は不利な状況に立たされている。日本の景気減速が鮮明になりつつある中で、日銀は厳しいかじ取りを迫られる。