ランニングをする男性Photo:Jordan Siemens//Getty Images
*本記事はEsquireからの転載です。

 ゆっくり走ることの本当の価値と、そのことで期待できる精神的・肉体的なメリットについて、専門家に訊ねました。

充実したランニングライフ

「ゆっくりと力を抜いて走る」というコンセプトを受け入れるためには、ちょっとした意識改革が必要かもしれません。「自分にとって楽なペースで、ゆっくり走り続けているだけで本当により速く、そして、より良いランナーになれるのだろうか?」という疑問が、どうしても浮かんでしまうかもしれません。

「特にランニング初心者にとって、力を抜いて楽に走ることのポジティブな効果を実感するのは、なかなか困難かもしれません」と、サウスカロライナ州のハート・ストレングス&エンデュアランス・コーチング(*1)の創設者であり、公認ランニングコーチの資格を持つ運動生理学者ヘザー・ハート(*2)氏(C.S.C.S)は、アメリカのランニング専門誌『Runner’s World(ランナーズ・ワールド)』の主題に対して述べています。

 そのような疑念は、無視してしまうに限ります。なぜかと言えば、スローランニング(以下スローラン)を無理なく継続することで、あらゆるアスリートにとって数えきれないほどの素晴らしい恩恵がもたらされることが、すでにさまざまな研究によってわかっているからにほかなりません。

 今回は2名の専門家を迎え、スローダウンすることで心身に生じるうれしい効果について解説していただきましょう。