空港周辺における
空港対策費とは

 なお、行政支援とは異なるが、24年度には、航空機燃料税の使途に関わる見直しが行われる。航空機燃料税は、空港整備勘定というお財布に入り、空港整備・運営の原資となっている。主に、国管理空港の整備・運営に配分されるが、一部は、航空機燃料譲与税として、空港が所在する空港関係地方自治体に譲与されている。これを原資として、空港周辺自治体では、空港対策や周辺地域の騒音対策などを行っている。

 この資金は、空港関係地方自治体にとって空港が、地域に根差し、地域住民・企業と共生し、地域に貢献するという意味で貴重な財源となっていることから、コロナパンデミック発生後以来、航空機燃料税の引き下げが行われている間も、料率が変わらないように調整されてきている(具体的には、以下である。本則では、航空機燃料税収入額の2/13が航空機燃料譲与税として配分されることとされているが、24年度は4/13、25~26年度は4/15、27年度は、2/9が配分されることとされている)。

 航空機燃料譲与税の具体的な姿は、以下のとおりである。航空機燃料譲与税は、22年度実績で、空港関係都道府県37団体と空港関係市町村122団体の空港関係地方自治体に、配分されている。これまでの配分額は、コロナ発生直後には落ち込んだものの、国内旅客の回復とともに、配分実績額も回復していることが分かる。

空港対策費の配分と
2024年度からの改訂

 空港周辺の対策費として配分される航空機燃料譲与税の空港関係地方自治体間配分は、各空港の着陸料収入額と騒音世帯数を基準として配分されている。これらの基準が採用された理由は、それらが、各空港で必要となる空港対策費と関係する指標であるからである。今回、改訂の対象とされたのは、着陸料収入額の基準である。

 これまで、各地方自治体の空港対策に関する財政需要(すなわち、各空港で必要となる空港対策費)は、航空機の利用頻度と関わるとの考えから、着陸料収入額を、その基準としてふさわしいと考えられてきた。しかしながら、近年は、空港における着陸料体系が多様化し、また、着陸料は、各空港で柔軟に設定できるものであることから、必ずしも、航空機の利用頻度を表す基準としてはふさわしいとは言えなくなってきている。