変局!岐路に立つNHK#5Photo:Vertigo3d/gettyimage

NHKは会長職こそ近年は外部からの起用が続いているものの、副会長や理事といった幹部はプロパー職員が占めている。巨大組織の中で、頂点に近いのはどの部署なのか。特集『変局!岐路に立つNHK』(全8回)の#5では、記者職などの王道の出世コースを紹介するほか、“穴場”ともいえるルートも明らかにする。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

副会長を3年務めると
退職金は1800万円

 NHK現会長の稲葉延雄氏は日本銀行の出身である。従って、NHKのプロパー職員の中で“頂点”に位置するのが、副会長の井上樹彦氏だ。

 井上氏は早稲田大学第一文学部を卒業後、1980年にNHKに入局した。長崎放送局で6年間勤務した後、東京の政治部に異動。第3次小泉内閣の組閣直前、2005年6月に政治部部長となり、編成局、報道局主幹、編成局局長を経て、14年に理事に就任した。理事に就任後は子会社であるNHKアイテックや放送衛星システムの社長を歴任。外部で得た知見などが評価され、稲葉体制で副会長の座に就いた。

 まさにプロパーのトップに君臨するが、その報酬は決して高額というわけではない。会長の年間報酬は月額報酬と期末報酬を合わせて年間3092万円で、副会長である井上氏は2690万円。民間企業の役員に当たる理事は2206万円だ。一般企業と比べて、そこまで高水準とは言い難い。

 退職一時金もそこまで多くはない。NHKの中堅職員は給与事情について、「民放と比べて基本給が低いので、昔から残業代で稼ぐ文化がある」と話す。そのため、退職時の基本給を基に決まる退職金は、大手企業と比べて「半分から3分の2程度になってしまう」(同職員)という。

 ただし、会長や副会長をはじめ、理事や子会社の役員となると話は別だ。NHK職員としての退職金を得た後、さらに在任期間に応じて役員としての退職金を得ることができる。退職金は在任期間と月額報酬に基づいて支給される。副会長を3年務めた場合、支給額は1844万円になる。職員の待遇のまま退職するのとは、雲泥の差なのだ。

 1万人の職員を抱えるNHKでは、待遇が大きく異なる役員の座を巡る出世争いは特に過酷だ。では、その出世事情とは。例えば、記者職では井上氏のように、政治部の出身者が出世の階段を駆け上がるケースが多い。政治との距離が近いNHKならではといえる。

 では、記者職ではない場合はどうか。次ページでは、意外な出世ルートや近年、局内で存在感を増している部署について明らかにする。