ヤバいDX 2023#6Photo:.shock/gettyimages

DXブーム、といいながらもデジタルもトランスフォーメーションもないDXプロジェクトの現場が日本のあちこちにあふれる……。特集『企業・銀行・官公庁・ITベンダー・コンサルが大騒ぎ! ヤバいDX 2023』(全13回)の#6ではそんな中、座談会メンバーが、次に「来る」「恐怖系DX」を予想する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

座談会参加者
Henry @HighWiz 大手SIerの大規模プロジェクトのPMを経て総合コンサルへ転身
ケビン松永 @Canary_Kun  大手SIerから独立してフリーのITコンサルやってます
よんてんごP @yontengoP ブラックIT業界を渡り歩く病人ツイッタラー。薬を飲み忘れる
むぎSE @MUGI1208 社内SE社畜ツイッタラー。炎上プロジェクトの遭遇率が高め
shin @shin_ofshins ウェブとアプリに詳しいコード書く系スタートアップ経営者
かち @kachi_saas SaaSの最新トレンド(リストラ)を身近に感じる外資ITソフトベンダーのセールスエンジニア
SW @Diamond_IT_SW コンサルからメーカー情シスに移籍した企業哀戦士
木公川 元金融SE畑むぎ大先生により臨時召喚されたみずほIT部SEマン。脱出済

「関東と関西で違う商品コード、統一できないから変換ツールを作る」これなんていうDXかな?

――さて本日は、メンバー各位が関わるDX関係プロジェクトについて楽しくお伺いしていこうと思います!

よんてんごP(4.5P) もう終わった案件ですが、当初は基幹システムを入れるだけだったDX案件は、結局、後から要件追加が多数出てきまして。

 最初は「この外部パッケージの導入で終わり!」だったはずが、「これも要る、この機能はイチから作らないと駄目、元から使ってるシステムと互換性がない」ってどんどん話が膨らんだ結果、「これ外部パッケージの導入だけじゃ全然無理じゃね?」という結論に。

 結果、本来「導入だけ!」の予算で、ほぼイチから新しいシステムを作りましょうってなって、元請けとか親会社はいいけど、開発するわれわれの単価がどんどん削られていきましたね。

shin 予算上げてくれないんだ。

4.5P だからそれは前回のみずほ銀行と同じでございますよ。「システム変えたところで、客の会社の売り上げが上がるわけじゃない」っていう理由で。開発が始まって、要件を掘り起こしていくと、これも必要、あれも必要ってなって、作業と考えることがどんどん増えていく。

 後は「同じ小売店チェーンで、関東エリアと関西エリアで商品管理のコードが違う」とかね。コードをそろえないといけないけど、片方に合わせられない。じゃあ両方のコードを変換するマスタを作ろう、みたいな話になる。で、「同じ商品でも割引率によって扱いが変わるから、別のデータにしないと!」みたいな話が後から出てきて、どんどん要件は膨らんでいく。それと並行で、「○○支店の店長が変わったので、データ管理の方法も4月から変えます」みたいな話まで飛び込んできて……っていうもぐらたたきみたいな状態になってた案件もありましたね。

――いい地獄ですね。そもそも、DXって何でしたっけ。デジタルで会社を変える、的な話だったような気もしますけど。せっかくDXするんだからそういうもろもろの業務とか、データの持ち方も合わせて整備しましょうよ、って考え方はないの?

DXブームは冷めやらぬのに、プロジェクトの現場で行われていることはなんだかとってもトホホなことばかり?デジタルによる企業変革とはまったく関係なさそうな、部署間の縄張り争いと、やり方を変えたくない社員との戦いの結果は……?元みずほマンのゲストを迎えて絶好調の座談会、詳細は次ページに!