後悔しない 医療・介護#8Photo by Ami Miyamoto

6月の調剤報酬改定で、病院の敷地内にある「敷地内薬局」の調剤料金が大幅に引き下げられる。では患者側は、どの薬局を選べば幾ら得をするのか。特集『後悔しない医療・介護』の#8では、具体的な金額を算出して薬局間の料金差を比較するとともに、激安化を巡る業界裏事情を明らかにする。(医薬経済社副編集長 槇ヶ垰智彦)

実は「敷地内薬局」が
患者の財布に最も優しい

 大学の付属病院や地域の大病院などの敷地内で、コンビニやカフェと並んだ「調剤薬局」を見掛けたことはないだろうか。敷地内であるものの、街中の薬局と同様の機能を持ち、外来受診した患者の処方箋を受け付けている。業界内で「敷地内薬局」と呼ばれている形態だ。

 立地的に便利なこの敷地内薬局が、実は「患者の財布に最も優しい」という事実はあまり一般に広くは知られていない。もちろん薬の料金に当たる「薬価」は全国一律なのだが、追加で薬局に支払う料金部分には大きな差がある。

 代表的なのが、薬局が運営していく上で最も基礎的な点数(1点=10円)である「調剤基本料」だ。広く処方箋を受け付け、チェーン化せず1店舗だけを経営するような「個店薬局」などは、これが420円に設定されている。ところが、敷地内薬局はわずか70円。これだけで350円もの差が生じている。

 もちろん、健康保険が適用されるため、実際に患者が支払うのはこの1~3割。それでも、敷地内薬局は3割負担でベースの料金が105円も安いことになる。

 さらに、この基本料には、薬局の努力などに応じて得られる「加算」として追加の料金が設けられている。一つは、地域に貢献できる体制を組んでいる薬局を評価する「地域支援体制加算」。そして、もう一つが安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)を率先して出している薬局のための「後発医薬品調剤体制加算」だ。

 敷地内薬局はこれらも「通常の80%」しか取れないルールが存在する。詳細は割愛するが、地域の個店薬局と、敷地内薬局が、いずれも最大限の加算を得ている場合、基本料と加算を合わせた個店薬局の料金は1190円、敷地内薬局は620円。その差は570円、3割負担で171円に広がる。

 加えて、である。こうしたルールを決める厚生労働省の会議は2月14日、今年6月に実施する料金(調剤報酬)の改定で、過去最大に敷地内薬局を“激安化”させる方針を決定した。

 では、患者側はどの薬局を選べば幾ら得をするのか。次ページでは、具体的な金額を算出して薬局間の料金差を比較するとともに、激安化を巡る業界裏事情に明らかにする。