PTA会費を何となく払う人が知らない「不条理な使い道」の実態を暴露写真はイメージです Photo:PIXTA

保護者が当たり前のように支払っているものの、その使い道がよく分からないのが「PTA会費」だ。PTAの活動資金が会計担当者などに横領される事件も毎年のように起きている。本来「寄付金の強制徴収」は違法に当たるが、実は学校に寄付されているケースもある。短期集中連載「大塚さん、PTAが嫌すぎるんですが…」の#5では、PTA・学校・保護者に豊富な取材経験を持つ筆者が、そうしたPTA会費の「不条理な使い道」の実態を徹底解説する。(ライター 大塚玲子)

保護者だけでなく教員からも
同意なくPTA会費を徴収

 今回取り上げるのは、PTAのお金の問題についてです。掘り下げるべき点だらけのテーマですが、この記事では会費の徴収方法や用途について、おおまかなところを見ていきたいと思います。

 PTAでは、会費を強制徴収していることが今でも割とよくあります。連載の初回で説明したように、そもそも入会するかどうか本人の意思を確認しないまま保護者を会員として扱い、お金を払わせているPTAが少なからずあるので、強制徴収の形になってしまっているのです。

 そのため、保護者はPTAを「学校の一部」のように誤解、錯覚しがちです。しかもPTA会費は、学校が教材費などと一緒に集めることが多いので、学校と別の団体であることが認識されづらいのです。最近は、PTA会費を学校が代替徴収する場合に保護者の同意を取るケースも徐々に増えていますが、同意を取らないケースもいまだ珍しくありません。

 過去には、保護者が「入会していないのに会費を徴収された」として、PTAに対し訴訟を起こし、会費の返還を求めた例もあります。最終的に和解となりましたが、判決ではPTAが任意で加入する団体であることが改めて確認されました。

 PTA会費を強制的に徴収されているのは保護者だけでなく、教職員も同様です。先生や職員さんたちも多くの場合、加入意思を問われることなくPTA会費の支払いを求められています。教職員の給与口座から同意なくPTA会費を引き落としてしまう学校も、少なからずあると聞きます。

「加入は義務」と管理職から説明されて会費を納めた先生が、後に少額訴訟を起こし、会費を返還された例などもあります。

【次ページ以降】
・PTA会費を「しれっと学校に寄付」の問題点
・PTA会費を何となく払う人が知らない「不条理な使い道」
・会費のトラブルを防ぐ「PTAの在り方」