「ひとり言」が多い人ほどうまくいく意外な理由、五月病に悩む人との決定的な違い五月病から抜け出すための意外な方法が…(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新生活1カ月めに不調が襲う
うまくいく人の「習慣」とは?

 新生活がスタートして1カ月ほど過ぎたあたりから、心身の不調を訴える人が増えてくる。「五月病を切り抜けるためにもひとり言を有効活用することが大事です」とアドバイスするのは、『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)の著者で脳内科医の加藤俊徳さん。加藤さんは1万人以上の脳画像を見てきたなかで、脳の成長段階、強みや弱みを診断し、薬だけに頼らない脳番地トレーニング処方を行う。

「心理的にはひとり言を言う人は、不安を感じていたりストレスが溜まっていたりすると解釈されるようですが、ひとり言は脳を覚醒させて眠っていた能力を伸ばす力があります。ひとり言の持つ驚くべき効果を理解すると、思考力や自己肯定感を高め、仕事でもプライベートでも目標達成に導くことができます」(加藤さん、以下同)

「どうしてあんなことを言ってしまったのだろう」「なんであんなことをしたのか」と、自分の発言や行動を振り返って、いたらない思いや悔しい思いに捉われたときに、口からこぼれ出てしまうことが多いだろう。実は、そんなストレスや行き場のない怒りを「言葉」に出すことで解消し、昇華する力が
あるという。

「溜まったストレスを声に出すことで発散する作用があります。それは、声に出さなくても心の中のつぶやき、脳内つぶやきでもいいのです。つぶやきの氷山の一角が独り言になる。ストレスを発散するだけでなく、次にどうしたらいいかという対処の仕方がわかったり、心の整理がつくようになったりします。私自身、よくひとり言を言う習慣があり、『先生はひとり言が多いですね』と指摘されるほどです。でも、自信を失ったときなどに『(こんな状況だけれども)もしかしてできるんじゃない?』と口走ると、自己肯定感が保たれて、実際にできるようになった、というケースもありました」

 脳内では、このように肯定的で楽観的な思考をすると同時に、批判的で悲観的な考え方もする。肯定と否定、楽観と悲観など、さまざまな思考をひとり言とともに、振り子のように繰り返すことで、脳が加速度的に働き始める。