ドル円「160円タッチ」と円買い介入の可能性は?ますます遠のく米利下げ開始20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を終え、記者会見する鈴木俊一財務相=4月18日、ワシントン Photo:JIJI

米利下げ開始時期見通し
今年12月に後ずれ

 筆者は、米経済の堅調が続くとしてもコアPCEデフレータの鈍化基調が続いていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年6月に利下げを開始し、ドルが緩やかに下落するとの見通しをこれまで維持してきた。

 もっとも、4月に発表された3月の米主要経済指標(雇用統計、CPI、小売売上高など)が市場予想に比べ堅調な結果となり、パウエルFRB議長をはじめとするFRB高官からは利下げを急がない姿勢が相次いで示された。

 こうした中、コアPCEデフレータは既に前年比2%台へ鈍化しているとは言え、今後の更なる鈍化が限定的となるか、一転して再加速するリスクにも目配りをする金融政策運営の必要性が高まっているようだ。このため筆者は、米利下げ開始時期の予想を今年12月へ後ずれさせた。

 その後の利下げペースは2会合に1回(四半期に1回)程度とみている。これにより、現時点では利下げ開始時期を巡るリスクバランスは前後に概ね均衡したと考える。すなわち、9月に利下げが前倒しとなる確率と、年内は利下げが見送りとなる確率が同程度ということだ。