莫大な住宅整備費を費消するも
公営住宅の数は先進国最低レベル

 日本の公共事業が役に立っていないのは、防災対策だけではない。

 多額の予算を食っている住宅事業や道路整備事業においても、国民生活の上ではほとんど役に立っていないのである。

 国税庁のサイト「国の財政・歳出~公共事業関係費」をみると、「社会資本総合整備事業費」という項目が1兆3805億円となっており、これは道路整備事業に次いで大きなシェアを占めている。この「社会資本総合整備事業費」には、同サイトでは「町の整備や住宅支援のため」という説明がある。

 しかし、これも「なんのために使われているのかわからない」のである。

 というのも、日本は公営住宅が先進国の中で著しく少ないからである。

 イギリス、フランス、ドイツなどは、住宅に占める公営住宅の割合は15%前後である。しかも、これらの国は、以前はもっと多くの公営住宅があったが、70年代から90年代にかけて、大量に国民に払い下げられた。それでも、全住宅の15%前後が公営住宅として残っているのだ。

書影『世界で第何位?日本の絶望ランキング集』(中央公論新社)『世界で第何位?日本の絶望ランキング集』(中央公論新社)
大村大次郎 著

 では、日本はどうかというと、3分の1の5%程度しかないのだ。自己責任の国アメリカと同程度なのである。

 日本は莫大な住居整備費を費消していながら、公営住宅はイギリス、フランス、ドイツの半分にもまったく足らないのである。

 もし日本にもっと公営住宅があれば、ネットカフェ難民や生活保護受給者や経済的理由による自殺なども大幅に減らせるはずなのに。