電話をとる手写真はイメージです Photo:PIXTA

「電話をとる」という、ごく簡単な所作で、ビジネスの場でも毎日のように起きることが、困難な人たちが存在する。そんな「電話恐怖症」の症状について専門家に聞いた。(清談社 田中 慧)

涙や吐き気が止まらない人もいる
電話恐怖症とは

「自宅のベッドで休んでいたある日の晩、ブーッブーッと携帯電話のバイブ音が鳴ったんです。相手は最近異動した部署の上司だったんですけど、なぜか背筋が固まってスマホをとる手が動かなくって。ダメだと思いつつもそのまま10コールほど聞き流し、結局、向こうから電話を切られました。居留守をつかった罪悪感はあったんですが、怖くてその晩は上司に折り返せず、スマホの電源を落としても激しい動悸(どうき)は収まりませんでした」

 これは、ある20代の女性が実際に体験した出来事だ。「仕事の電話を取らないなんて社会人として失格」「業務時間外に電話をする上司のほうがおかしい」など、捉え方はさまざまだろう。だが、問題はそこではない。実は近年、こうした「電話に恐怖を感じる」という症状が増加傾向にあるという。

 不安神経症や恐怖症・依存症に特化した、心とカラダの調律院『リライフアーツ』院長の亀山真吾氏はこう話す。