「貯金2000万円、退職金1000万円で老後資金は足りる?」60代夫婦のギモンにFPがズバッと回答写真はイメージです Photo:PIXTA

「老後資金への不安」はいまや多くの家庭が抱える切実な問題だ。「老後2000万円問題」で言われたように2000万円の貯金があれば安心なのか?年金で足りる?生活費の水準は?60代に差しかかる鴨下夫婦の不安を解消すべく、お金のプロが徹底解説する。※本稿は、斎藤岳志『老後が不安……。貯金と年金で大丈夫ですか?』(現代書林)の一部を抜粋・編集したものです。

「貯金はあるけど、老後資金が不安」
今の生活を変える必要はある?

(鴨下夫妻)はじめまして!

 はじめまして。このたびはよろしくお願いします。CFPの斎藤岳志です。

(妻)CFPというのはFP(ファイナンシャルプランナー)さんとは違うのですか?

 いいえ、同じです。CFPとはCertified Financial Plannerの略で、簡単に言うとFPの上級資格です。


(夫)おおー、それは信頼度抜群ですね。
(妻)私たち、FPさんに相談するのは初めてなんですけど、斎藤さんのラジオを聞いて、「この人に相談しよう!」とピンときたんです!

 ありがとうございます。早速相談をお伺いしましょう。

(夫)はい。ズバリ、老後資金についてです。私はずっと会社員で働いてきて、年収は現在でも600万円とあまり高くないのですが、なんとか2人の子どもを大学まで出して、住宅ローンも完済し、できる範囲で貯金もしてきました。でも私が来月60歳で定年になるんです。65歳までは継続雇用で同じ会社で働けるのですが、給料は40%下がって、年収は360万円になってしまいます。退職金は入りますが、この先この資金で持つのか、心配になって相談に来ました。コツコツ貯金はしてきたけど、いろいろ不安で……。

 状況はわかりました。まず、お2人が今後どのぐらいのお金が必要なのか30年後、40年先を考えて計算していきましょう。

(夫)30年というと僕たち90歳、40年で100歳か、ま、100歳までは無理として、30年先まで考えればいいか…。
(妻)あら、私は100まで生きるつもりよ。

 人生100年時代です。ぜひその心意気でお願いします。

(夫)私はそんな元気がなく…(笑)。でもまあ妻のほうは100歳いけそうですし、40年後までお願いします。

 まず現在の貯金額が2000万円。これに光男さんの退職金が1000万円ですから、合計で3000万円。まずはこれが手持ちの資金となりますね。現在のお2人の毎月の生活費はどのぐらいですか?

(妻)37万円ぐらいです。2人にしては多めだと思うし、もう少し節約したいのですが、親の介護をしていて費用の一部を負担しているし、特に贅沢をしていなくても、このぐらいはかかってしまうんです。光男さんは糖尿病持ちで食事を気にしないといけないのによく食べるし、お酒もたくさん飲むし。
(夫)(気まずそうに目をそらす)

 まあ、夫婦2人で37万円は一般的な家計よりは少々多いかもしれませんが、引退後は現役時代より生活費が少なくて済むのが一般的です。大体7〜8割ぐらいにはなります。お2人の場合、37万円×0.8で約30万円としましょう。