ダイヤモンド社主催のビジネスフォーラム「健康経営大会議」が2023年11月30日、リアルとオンラインのハイブリッド形式で開催された。登壇した有識者たちは、少子高齢化が進み、働き手の確保が困難となる中、組織はいかに「健康経営」を実践してその維持と生産性向上を図っていくべきなのかについて、さまざまな立場や角度から提言した。

【基調講演】「フィードバック」よりも「フィードフォワード」を

 最初に登壇したのは、青山学院大学陸上競技部の原晋監督である。「箱根駅伝」で青山学院を6度の総合優勝に導いた原監督は、「チームメンバーの力を引き出し、組織の力を極大化する」というテーマで講演を行った。

 原監督は「組織づくりの基本は、まず共通の理念を掲げ、チーム全体や個々のメンバーの行動へと落とし込むこと。これは、スポーツ組織も企業も変わりません」と指摘。その上で、駅伝出場を目指す部員たちに月1回行わせている「目標管理ミーティング」について紹介した。

 このミーティングでは、5、6人の部員が1グループとなり、一人一人の目標について「どうすれば達成できるか」を他の部員がアドバイスをする。

「達成できなかったことに反省を促す『フィードバック』ではなく、仲間たちが互いの目標達成のために助け合う『フィードフォワード』によって、チームの連帯感が生まれ、心理的安全性も高まります。社員の不安や孤立感をなくし、生き生きと働けるようにする『健康経営』の参考になれば」と原監督は語った。

青山学院大学地球社会共生学部 教授
陸上競技部 長距離ブロック監督 原 晋
1967年、広島県三原市生まれ。世羅高校・中京大学を経て、陸上競技部第1期生として中国電力に進むも、故障に悩み、5年目で競技生活から引退。95年、同社でサラリーマンとして再スタートし、ビジネスマンとしての能力を開花。2004年、青山学院大学陸上競技部の監督に就任。09年に33年ぶりの箱根駅伝出場を果たす。15年、青学史上初となる箱根駅伝総合優勝に輝く。18年、箱根駅伝4連覇を達成。22年、大会新記録で6度目の箱根駅伝総合優勝。19年4月からは地球社会共生学部教授として教壇にも立っている。

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