自動車大手3社の米国現地法人「9~11%賃上げ」も、日本で賃上げが進まない理由Photo:PIXTA

日本企業は海外では
高い賃上げをしている

「デフレ完全脱却」を掲げる政府の総合経済対策では、持続的な賃金引き上げを進める税制などでの支援策が盛り込まれ、日本銀行も2%物価目標達成の鍵として、来年春闘での高い賃上げによる物価と賃金の好循環実現を挙げている。

 消費が弱く景気回復の勢いが鈍いことについても賃金引き上げが物価の上昇に追い付かない問題が指摘されてきた。こうした状況を見れば、日本企業は十分な賃上げを拒んでいると多くの人が思っているのではないか。

 だが、トヨタなど自動車大手の米国現地法人が11月に入り、2024年の賃金について10%台やそれに近い引き上げを決めたのを見ると、そうでもないようだ。

 国内でも、日本企業は外国人の役員に巨額の役員報酬を支払っている。22年度は上場企業のトップ10人の高額報酬役員のうち7人が外国人だ。会社の社長・会長よりも多くもらっている人がいるから驚きだ。

 事実として日本企業は外国人には高い給与を支払っている。逆に言えば、日本企業は必ずしも日本人に高い給与を支払おうとはしていないのだ。このことは日本企業の賃上げがなぜ進みにくいのかを考えるヒントになる。