第2回:「みどりの食料システム戦略」が創り出す農業の多様な未来を実感する「アグリビジネス創出フェア2023」レポート東京ビッグサイトで開催された「アグリビジネス創出フェア2023」の様子

その1 畜ふんを1週間で飼料と有機肥料に
変えてしまう「イエバエの力」

旧ソ連の有人火星探査の研究に源を持つのがムスカ(串間充崇代表取締役CEO)の「イエバエを活用した家畜排せつ物(畜ふん)を再資源化した飼料および有機肥料の安定供給体制の構築」だ。

第2回:「みどりの食料システム戦略」が創り出す農業の多様な未来を実感する「アグリビジネス創出フェア2023」レポートムスカの串間充崇CEO(写真右)と同社事業開発本部の森宗太氏

旧ソ連では、往復に4年かかる有人火星探査のための食料確保や有機廃棄物処理システムの研究の中でイエバエの特性に注目した。その研究成果を技術導入したムスカは、前身の会社以来約30年をかけて工業化に適したイエバエの優勢種の育成を進めてきた。「当初からだと1500世代を数えます」と語る串間CEO。ムスカという社名も、イエバエの学名「ムスカ・ドメスティカ」にちなんでいる。

次ページからは、イエバエによる飼料や有機肥料の、驚きの“生産手法”に迫る。