立教大学・中原淳教授の書籍が、“オンライン読書会”の参加者に伝えたこと

今年(2023年)6月に刊行された書籍『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』(立教大学経営学部教授 中原淳 著/ダイヤモンド社刊)が、企業の経営層や人事担当者に広く読まれている。A5判・464ぺージの大著だが、多くの図版とともに展開されるページは、読みやすく、とても丁寧なつくりで、誰もが理解できる内容だ。その「オンライン読書会」が、参加費無料で、9月の2夜にわたって行われた。各回200名以上の参加者でにぎわったイベントの様子を「HRオンライン」がレポートする。(ダイヤモンド社 人材開発編集部)

HR担当者以外の人たちも読書会に多数参加

 9月5日、9月26日の2日間にわたり、書籍『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』(中原淳著/ダイヤモンド社刊)のオンライン読書会(参加費無料)が開催された。この書籍は、中原淳教授(立教大学経営学部)が主査を務める立教大学大学院経営学専攻「リーダーシップ開発コース」で行われている授業をベースに、“人と組織の課題解決プロセス”を解説したものだ。書名に「コンサルティング」とあるが、とっつきにくい専門書ではなく、人材開発・組織開発を、「誰もが学び、実践できるものにする」ための「教科書」になっている。

 今回のオンライン読書会の特徴は、著者の中原教授が自ら参加していること。開催告知時に募集した有志のプレゼンターたちによる「まとめ(サマライズ)」の発表に続き、彼ら彼女ら(プレゼンター)と中原教授の質疑応答や参加者の意見交換の場も用意されている。

 私は、「事前に本を読み、内容を把握しておくこと」が前提と思ったが、通読していなくても参加可能とのこと。400ページ超えの大著である本書のサマライズが知れることは、書籍にこれから向き合う人にとっても助けになるはずだ。

 以前、私は中原教授が監修を務める「研修開発ラボ」を取材したことがあるが(*)、ラボ参加者が企画した研修プログラムに対し、中原教授が、小気味良く、瞬時に的確なアドバイスをしていた姿が印象に残っていた。はたして今回は、中原教授がプレゼンターや読書会の参加者たちとどのようなやりとりを展開するのだろう。

* HRオンライン「研修の内製化に欠かせない『研修開発ラボ』とはいったい何か?」参照

立教大学・中原淳教授の書籍が、“オンライン読書会”の参加者に伝えたこと

人材開発・組織開発コンサルティング
人と組織の「課題解決」入門

立教大学経営学部教授 中原淳 著

ダイヤモンド社 刊
2023年6月発行
A5判・464ぺージ
ISBN 978-4-478-11779-8
4,500円(本体価格+税)

 

 第1回の読書会は、9月5日火曜日の18時から行われ、私はオンデマンド視聴した。参加者は200名以上。書籍の編集者である広瀬一輝さん(ダイヤモンド社 HRソリューション事業室)が司会進行役を務め、「質問や意見をチャットにどんどん投稿してください。グループワークへの積極的な参加もお願いします」と呼びかけた。発言や対話が難しい場合は、オンライン画面に表示される自分の名前に「耳だけ」という言葉をつけて、「聴くだけ」の参加でもよいという。この方法なら、「発言しなくては……」というプレッシャーがなく、他の参加者たちに自分のスタンスを明示することができる。とても優しい手法だと、私は思った。

 冒頭、中原教授が「いま、どこで、何をしていますか?」とチャットで語りかけると、首都圏在住者が多いものの、北海道や関西方面といったエリアもあがった。全国どこからでも参加できるのはオンラインイベントならではだが、「電車の中から」「家で夕飯を作りながら」といった返答もあって、「耳だけ」が可能だからこそ、より多くの人が気軽に参加できている様子がうかがえた。「普段、どういう仕事をしているか?」のヒヤリングからは、HR部門が約半数を占める一方、個人で研修やコンサルティングを行っている人も参加していることが分かった。

 読書会が始まる前に、中原教授が参加者に向けて、本書に込めた想いを語っていく。ひとつとして同じ“現場”がないからこそ、「型」が必要であり、それを文字で残したいと思ったこと、人事とベンダーの分断を超える言葉を作りたいと思ったこと――マイルドな口調ながらも、熱い想いが伝わるトークを聴き、初学者からプロフェッショナルまで使える「教科書」とはいったいどんなものなのかと、私の興味心が高まった。