デザインの適応進化を加速せよ──太刀川英輔が語る、デザイン団体の変革の理由

1966年に発足し、日本の産業の発展に伴走してきたプロフェッショナルデザイン団体の横串組織「日本デザイン団体協議会」が、今、自らの存在意義を問い直し、領域を超えたデザインの対話の場を創出することに取り組んでいる。2023年6月には初めての試みとして「Japan Design Summit 2023」を開催。同時に<D8>から<DOO(ディーオーオー)>への略称変更を発表した。これら一連の変革の立役者が、日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)の理事長であり、同協議会の前幹事団体理事長を務めた太刀川英輔氏だ。歴史あるデザイン団体に、今、変革が求められる背景と今後の展望を聞いた。(聞き手/音なぎ省一郎、構成/フリーライター 小林直美、撮影/まくらあさみ)

日本のデザイン関連団体を横串につなぐ組織

──太刀川さんは、2021年6月にJIDAの理事長に就任し、同時にJIDAを含むデザイン団体の横串組織であるDOO(旧D8)の幹事団体理事長にも就任され、2年間にわたってさまざまな改革を進められて来ました。その経緯を教えてください。

 JIDAの理事長になって、いくつか新しい取り組みを始めていますが、その中で、日本デザイン団体協議会(当時の呼称はD8)の幹事団体理事長になったのは偶然です。もともと本協議会には2年ごとに幹事団体を交代するルールがあり、JIDAに幹事団体の順番が回ってきたタイミングで私がJIDAの理事長になったので、本協議会の理事長にもなったという経緯です。

──そもそも日本デザイン団体協議会とはどんな団体なのでしょうか。

 1966年に、デザイン関連の八つの社団法人の事務局間の連絡会議として発足した日本で唯一のデザイン団体同士の協議会です。8団体で発足したからD8と呼ばれていました。インダストリアル、空間、グラフィック、インテリア、パッケージ、サイン、ジュエリー、クラフト……と、それぞれに専門領域を持つデザイン団体に横串を刺す組織です。これまで、デザインを知財として守っていく方法や、日本のデザインを収集・保存するミュージアム設立に向けた研究といった団体の枠を超えた有志の委員会など、団体間の情報共有以上の取り組みを進めてきました。

デザインの適応進化を加速せよ──太刀川英輔が語る、デザイン団体の変革の理由©DOO

──越境した課題を解決するための重要な役割を果たしてきたのですね。

 その通りです。私自身はそれまで本協議会と接点がありませんでしたし、活動内容もぼんやりとしか認識していませんでした。ただ、デザインの領域が急速につながっている中では、とても重要な役割を持つ組織なのは確かです。しかし、幹事理事長になってみると、団体の代表者同士による会合は年に2回しか開かれておらず、その2回も会計報告など事務連絡的なものが主だと分かりました。その姿にデザインの領域間をつないで刺激し合う……といった本来のありたい姿からのギャップの感じたんです。まずは団体同士が仲良くなったほうがいいし、ビジョンを話し合ったほうがいい。そこで会議の数を3倍に増やすことを提案し、これからのデザインについてたくさん話し合う場に変えていきました。