英語圏に住んで英会話が上手になる人・ならない人の違いは英語圏に住んで英会話が上手になる人・ならない人の違いは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

商社勤務を踏まえて日本人ビジネスパーソン向け英語教材を開発する筆者が、ニューヨークで見聞きした駐在員妻たちの典型的な人物像を紹介します。英語圏に住んで英会話が上手になる人・ならない人の違いは何でしょうか?(パタプライングリッシュ教材開発者 松尾光治)

「駐在1年もたてばペラペラ」は幻想

 筆者は以前、日本の大手英会話スクールから派遣され、同スクールのニューヨーク校で5年間、教務担当と講師をしていた。顧客の大半は駐在員と駐在員の奥さまたち、そして社会人留学生だ。

「駐妻(ちゅうづま)」などとも呼ばれる駐在員の奥さまの中には、ご主人の任期が終わる赴任3年目や5年目になっても英語があまり話せるようになっておらず、「日本に帰って英語ができないことがバレたら恥ずかしい」といった理由で、帰国の半年前くらいになって「どうにかしてください!」と駆け込んでくる人が一定数いた。

 この話を聞いて、驚いた人も多いだろう。「3年や5年もアメリカに住んでいたら、英語は自然にうまくなるのでは?」と思うかもしれない。

 しかし残念ながら、それは幻想だ。英語圏に何年住もうと、話す機会を多く持ちつつ、一人で学習する努力も怠らない限り、英会話は上達しない。

 英語圏に住んでいるだけで自然に覚えるのは、「サバイバル英語」くらいだ。駐妻でいえば、スーパーのレジで「袋がいるか?」と聞かれて答えたり、カフェやレストランで注文したりと、パターンが決まっている会話ならこなせるようになる。

 しかし、話す機会が少ない人や、自ら話す機会を積極的につくれない人は、「ただ、アメリカに住んでいる」だけ。これは駐妻だけでなく、駐在員本人も同様だ。当時、レッスンを受けに来た駐在員が、「1年もたてばペラペラになれるって聞いていたけれど、全く上達しないんです…」と嘆いていた。

 駐在員なら誰でも英語が上手というわけではない。そもそも会社が優先するのは英語力より仕事力だ。駐在していても業務上、ほとんど英語を話す必要のない人もいる。

 さて今回は、筆者が見聞きした駐妻で、(1)何年いても英語が上達しない人、(2)3~5年かけて、そこそこ話せるようになる人、(3)半年から1年ほどの短期間で、めきめきとうまくなる人、それぞれ典型的な人物像を紹介したい。その違いは何だろうか?

 次ページで紹介するのは、筆者が事情に詳しいニューヨークのある地域の話だ。公立学校のレベルが高いため、昔から多くの日本人駐在員家庭が集中して住んできた。(1)~(3)の人物像は、他の国・地域の駐妻に当てはまるものもあれば、そうでないものもあるだろう。しかしながら、英語圏に住んで英会話が上手になる人・ならない人の違いが、よくわかるはずだ。