2024.4.3
マイナス金利解除で苦境に陥る中小企業「10業種」、金利上昇の支払い能力を独自試算
マイナス金利解除を皮切りに金利水準の正常化が進む見通しだが、営業利益に対する金利コストの割合を規模別、業種別に独自試算したところ、資本金2000万円未満の中小企業の金利支払い能力はかなり低いことが分かった。収益力が弱いまま長年の超低金…
第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト
くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。
2024.4.3
マイナス金利解除を皮切りに金利水準の正常化が進む見通しだが、営業利益に対する金利コストの割合を規模別、業種別に独自試算したところ、資本金2000万円未満の中小企業の金利支払い能力はかなり低いことが分かった。収益力が弱いまま長年の超低金…
2024.3.5
日経平均株価は史上初めて4万円台を付けたが、急騰の背景には半導体などITの好況を反映した米国株上昇との連動がある。日本では「実感なき株高」との声もあるが、米株価が大きく腰折れしない限りは日本株の上昇は続く。懸念は米国にも市場がFRBの利…
2024.2.7
政府が賃上げ促進のけん引役と期待する2024年春闘交渉は30年ぶりの高い賃上げ率だった23年の3.58%を上回る見通しだが、パートや自営事業で働く人を含めた23年の賃上げ率(1~11月)は1.3%にとどまる。春闘の効果が及ばない就業構造が壁になり、今…
2023.12.6
日本企業の海外現地法人は大幅賃上げをしており、国内でも外国人役員に高額報酬を支払っている。しかし日本国内では労働組合の力が弱いことや労働者の移動が活発ではなく、経営者に対するプレッシャーが弱いことが日本人の賃上げが進まない大きな原…
2023.10.11
ガソリン代などの補助金を軸にした物価高対策は、地球温暖化に対するCO2抑制・脱炭素化や物価上昇を加速させる円安を生んでいる金融緩和策への問題意識を欠いた近視眼的な政策だ。幅広い視野で問題に取り組まない限り対症療法で終わる。
2023.8.9
訪日外国人の急増と人手不足を背景にホテル・旅館の宿泊料が高騰している。運輸、娯楽業など他のサービス分野も同じような構図だ。日本の物価は主に「人手不足」が先導する「悪いインフレ」への警戒が必要だ。
2023.6.14
30年ぶりの賃上げは企業の粗利がインフレ効果で増えていることが大きい。それにもかかわらず実質賃金のマイナスが続くのは一方で輸入インフレによる交易条件悪化が足を引っ張っているためだ。実質賃金を上げる究極の策は生産性引き上げしかない。
2023.4.12
米国の銀行破綻などは個別銀行問題として捉えられ、株価を見る限り金融不安は一服しているようにみえる。だが利上げ局面ではプルーデンス規制が例外事例からほころびるリスクがあり長丁場での警戒が必要だ。
2023.2.15
日銀新総裁に「本命」ではなかった植田和男氏が起用されるのは、低金利・財政拡張路線維持を求める自民党内の勢力が受け入れそうな植田氏に金利正常化を託そうという岸田政権の思惑がありそうだ。
2023.1.27
日銀がYCCの追加見直しを見送ったのは、昨年12月の政策変更が次期総裁の下、金融政策正常化に向かうシグナルとして一定の成果を上げたとみているからだ。1月決定会合でも出口戦略の布石は打っており4月以降の正常化の思惑は変わっていない。
2022.12.14
消費者総合指数を見れば消費水準はコロナ禍前の水準まであと少しで戻りそうだが、品目別の分析や消費性向、消費マインドから見れば違う姿が見える。消費の実相に迫るには「分ける」「統合する」「裏側を見る」という複眼思考が必要だ。
2022.10.19
物価上昇は財政にとっては巨額債務が目減りする一方で税収が増える「隠れた効果」を生み、財政健全化の余力が増している。だが問題は時の政権が財政規律にあまりにルーズになってしまっていることだ。
2022.8.24
日銀総裁は「利上げをすると景気が悪くなる」というが、カネ余りのもと企業も家計も受取利子の方が支払利子を上回りむしろ利上げの恩恵を受ける。人為的な超低利政策は巨額債務を抱える政府の側面支援に重きを置いて続けられている。
2022.6.29
企業は円安による輸入物価上昇に対する防衛策を考える時期だが、ドルを保有することで円安に進んだときの為替差損を防いだり、インカムゲインを得たりして採算悪化のいくらかを補うことができるはずだ。
2022.4.27
ウクライナ危機は経済の結び付きを強めることで紛争を回避する「経済抑止力」に限界があることを浮き彫りにしたが、一方で「経済安全保障」を重視すれば利害関係が薄くなりお互い抑制が利かなくなる難しさがある。
2022.3.2
ウクライナ侵攻を機に日本もエネルギーや貿易政策は経済安全保障を重視することになる。脱炭素化やレアメタルなどの安定供給確保に伴うコスト増に対応できるよう「価格転嫁力」を高めることかが重要になる。
2022.1.5
コロナ後の主要国の大きな課題は人口減少だ。海外からの労働者の流入減に加えて婚姻件数減少など、人口が元に戻らない構造変化が進むからだ。減少が最も深刻な日本は本気で対応する必要がある。
2021.11.10
岸田政権の「分配重視」への期待が大きいが、賃上げ企業の法人税を軽減する「所得拡大促進税制」強化の効果ははっきりしない。「2の矢」として中小企業の成長戦略が全体の賃金引き上げの鍵になる。
2021.9.15
自民党総裁選が17日に告示されるが、分配重視の岸田氏と改革派の河野氏が勝てば安倍・菅政権と続いたタカ派・リフレ政権が転換する可能性が高い。アベノミクス継承の高市氏と三つどもえの政策論争だ。
2021.7.21
2020年度の税収が過去最高になったのは輸出が伸びた大手・製造業の好業績で法人税収が上振れしたことが大きい。コロナ禍での税収増で財政健全化を前倒しで実現する可能性が出てきた。
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