韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領 Photo:SOPA Images/gettyimages

4月10日に行われた韓国総選挙は、尹錫悦政権の中間評価であり、2027年の大統領選挙を占う重要な選挙であった。結果は、与党「国民の力」が惨敗し、左派の「共に民主党」が勝利を収めた。一方で、尹美香氏の議員辞職や曹国氏の台頭など、文在寅前政権の同志達の明暗にも注目したい。今回の選挙の結果は、韓国内の政治的分断を浮き彫りにするものだった。そしてもう一つ気になるのが、若者世代が選挙に対して強い興味を持っているにもかかわらず、政治に対して非常に冷めていることだ。(韓国在住ライター 田中美蘭)

2024年韓国総選挙に見る韓国内の政治分断と若者達の本音

 4月10日に行われた韓国の国会議員総選挙は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権にとって国民からの中間評価であり、さらには2027年の次期大統領選挙で与党「国民の力」が政権を維持できるかを占う重要な選挙であった。しかし、結果は300議席のうち、野党が左派系列の小規模政党を合わせると192議席、与党は108議席と与党の惨敗に終わった。

 この結果は尹政権にとってかなりのダメージであり、任期後半の政権運営は厳しくなることは必至である上、次期大統領選挙でも厳しい戦いが予想される。日本人の視点から見れば、今回、左派の「共に民主党」が勝利したことは「良くない傾向」であり、仮に次期大統領選挙で再び政権を奪還したとなれば、文在寅(ムン・ジェイン)前政権時代の悪夢が繰り返されることも容易に想像でき、心穏やかではない。

 しかし、日韓関係という問題を切り離して今回の総選挙を見ると、単純に右派と左派で良し悪しを判断できないだけでなく、韓国が抱える根深い分断が改めて浮き彫りになったのである。