「長生きリスク」に「長く住める家」で備える

 2009年に国は、長期にわたり良好な状態で使用できると認められた一戸建てやマンションに認証を与える「長期優良住宅認定」という制度を開始しました。

 認定を取ると住宅ローン金利や税金面でメリットがありますが、費用と時間と労力がかかりますし、自治体によって補助金の金額も違うので、取得するかどうかは個人の判断でいいと思います。

 ただ、家を建てる際は、長期優良住宅認定の8つの評価基準、特に「劣化対策等級」と「維持管理対策等級」の2つを参考にするのがお薦めです。

 劣化対策等級は「劣化しにくい建築部材で作られているかどうか」、維持管理対策等級は「壊れたパーツの交換は容易か、低コストでメンテナンスできるか」を3段階で評価する指標です。丈夫で長持ちする家を建てるために、これらの基準を家づくりに反映させましょう。

 マンションを購入する場合も、必ず認定物件を選ぶべきというわけではありませんが、客観的な性能評価の指標として認定基準を利用するのがいいと思います。

 絶対にやったほうがいいのは、マイホーム購入後の「長期修繕計画」を立てることです。

 マンションの場合は管理組合と管理会社が計画を主導し、居住者が毎月積立金を払って予算を確保するシステムが確立されています。

 一戸建ての場合も同じように長期修繕計画の立案・実行が求められるはずなのですが、その重要性は見落とされがちです。一戸建てを購入した人は、数千万円という資産を自分で維持管理する義務を背負ったという意識を持ちましょう。建築業界の関係者のなかには、「毎月1万円」といった決まった金額を専用口座に積み立てている人も少なくありません。

 とはいえ、外壁塗装・屋上防水・鉄部塗装といった構造のメンテナンスから、風呂・トイレなど経年劣化する設備の交換まで、自分だけで管理するのはなかなか大変です。メンテナンスに強みがあるハウスメーカーや地域密着の工務店も多いので、必要に応じて専門家のサポートを受けるのがいいでしょう。