自分の世界に閉じこもらず、人とかかわる

「そうだった、私、ひとりで観光してたんだった」と、隣に誰もいないという事実に気づいた途端、急に物寂しく、心細くなりました。

「ステキだね」と言えば「ほんと、ステキだね」と応えてくれる人、「これ、すごくおいしいよね!」と言えば「うん、すごくおいしいね!」と応えてくれる人がいること。当たり前のようなことが、いかに大切かという事実を改めて実感した出来事でした。

 自分ひとりだけの経験や感覚は、記憶の中でも色褪せやすいものです。一方、誰かと共有した記憶は、思い出となり、歴史となります。 相手との記憶が心に残ることで、より深く意味づけられ、広がっていくのです。42歳でパーキンソン病と診断され、多くの人に支えられ、そして60歳を過ぎた今、「他者とかかわること、関心を持つこと」の大切さを痛感します。

 ひとりでももちろん悪くありませんが、2人ならよりよし、3人ならなおいいでしょう。他人との関係に苦しめられ、ひとりでいることを選んでしまった人はぜひ一度考えてみてください。今ここにいるあなた自身の存在を認めてくれる人がいなくても、本当に大丈夫なのかどうかを。

(本原稿は『もし私が人生をやり直せたら』から一部抜粋、追加編集したものです)