「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

話が分かりやすい人が使っている「思考のものさし」とは?Photo: Adobe Stock

「そうすることによるビフォー・アフターは?」と考えてみる

 前回、言語化がうまい人は、「思考のものさし」に当てはめて、自分の考えを具体化しているとお伝えしました。
 本書ではさまざまな言語化に役立つ「思考のものさし」を紹介していますが、ここでは、多くのシーンで使えるものさしとして「ビフォー・アフター」を紹介しましょう。
 以前紹介した「メリット・デメリット」が物事の表と裏を比較していたのに対して、「ビフォー・アフター」は時間軸で比較する「ものさし」です。

 たとえば、あなたがジムのトレーナーだったとしましょう。相手に入会を勧めたい場合を考えてみましょう。

(ざっくり一言)このジムに通うと痩せられます→(なぜ?)確実に痩せるプログラムをそろえているから→(たとえば、ビフォー・アフターは?)会員の方の86%が3か月以内に体重を5キロ減らすことに成功した」
という具合に、ビフォー・アフターを使って具体化できます。

 他にも、「年のせいか最近ちょっと疲れが抜けないんだよね」というような雑談シーンでも使えます。
(ビフォー)以前は一晩眠れば朝はスッキリしていた。(アフター)50過ぎてからは、朝から肩や腰が痛くて体が重いんだよ」。

 さらに、面白い本を読んで、その感想を伝えたい場合なら、
(ビフォー)いつも残業ばかりしていた。(アフター)この本のタスク管理術を実践したところ、仕事の効率が良くなって残業時間が大幅に減った」という具合にビフォー・アフターで具体化することもできます。

 このように、「ビフォー・アフター」は、過去と現在を比較したり、今と未来を比較したりすることで、その変化を生き生きと相手がイメージしやすい形で伝えることができます。様々な場面で活用しがいのある「ものさし」です。

話が分かりやすい人が使っている「思考のものさし」とは?ビフォー・アフターを使って、掘り下げていく。「言語化大全」より

*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。