「景気堅調とインフレ鈍化」
“異例の組み合わせ”の米経済

 米連邦準備制度理事会(FRB)は11月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を2会合連続で据え置き、パウエルFRB議長は今後も政策判断を慎重に進める意向を示した。

 FRBが利上げを見送った理由は、最近の長期金利の上昇で十分な引き締め効果が生まれていることと、現実にインフレ率の低下傾向が続いていることだ。

 FOMCの少し前に発表された2023年7~9月期の実質GDP成長率は季節調整済みの年率換算で4.9%と、FRBが推定する長期的な潜在成長率1.8%を大幅に上回った。

 こんなに成長率が高ければ、通常は需給ギャップが急速に締まり、インフレ圧力が高まり、失業率は低下する。FRBは利上げを求められるだろう。しかし現実のインフレ率と失業率は逆方向をたどり、利上げは見送られた。

 何かが違う。その原因は「景気堅調とインフレ鈍化」という異例の組み合わせが米国経済に生まれているからだ。

 だが来年以降を見通すと、米経済やFRBの政策運営は違うシナリオとなりそうだ。